市川雷蔵の「大菩薩峠」と「剣」
千日前国際シネマに見に行く。「大菩薩峠」は見て良かった。眠狂四郎のイメージのもとになったというこの映画での机竜之介だが、眠さまはニヒルなダークヒーローというところは共通するものの、狂気という要素はない。ラスト近く、白い着物の机竜之介が狂気に取り憑かれていくさまが、何ともいえず妖しくて美しい。

「剣」のほうは、三島由紀夫原作の現代劇。どこを切っても三島テイストで、三島を知らない人が見て意味がわかるんかこの映画は、という感じ。雷蔵自身が映画化を企画したそうで、雷蔵もストイックな部分があった人みたいだが、三島と感性を共有する部分はあったんだろうか。とにかく、全編、三島由紀夫の夢の世界、といった映画。若い男達がわいわい風呂に入ったり若い男達がふんどしやパンツ一丁で海水浴したり若い男達が(以下略)。

千日前国際シネマは難波にある古〜い映画館でとても味があった。昔の建物は空間に無駄なゆとりがあって良い。平日昼間だったせいか、客はお年寄りばっかり。

映画・ドラマ | 23:00:00 | Trackback(0) | (-)
業田良家
講演会に行った。本人を見てわかることってあると思うのだけど、業田良家は本当に真面目な人で、作品にふたごころがないということはよくわかった。サラリーマンのようなスーツ姿だったが、それは「人前で話すのだから」とこっちに着いてからわざわざ着替えたんだそうだ。

質疑応答で今のお笑いについて聞かれて、こう答えていた。「今のお笑いにはとても批判的です。今のお笑いは、広い意味で人を不幸にすると思います。人をすぐバカにしたり、すぐ突っ込んだり。人を幸せにするんじゃなくて、どんどん不幸にしていくと思います」
行き当たりばったりにペラペラ話すのではなく、じっくり答えていたのが印象的だった。本当に同感だ。「さっき言ったこととは矛盾するようですが、昔はドリフターズが大好きでした。クレイジーキャッツなんかも。ビートたけしやタモリあたりから嫌いになった。自分が大人になったからかもしれません」とも。

マンガ・アニメ | 23:00:24 | Trackback(0) | (-)
どうで死ぬ身の一踊り/西村賢太
数年前の芥川賞候補にもなったとのことで、最初読み始めた時にはこの人に賞を取らせるべきだったのではないかと強く思ったが、後半、女との話が中心になると、いかに最低の男かがこれでもかというほど露悪的に描かれるので、こんな人に芥川賞をやってはいけないと思うようになった。もっとも芥川賞自体がもう相当に馬鹿げているので、この賞自体を廃止したほうがいいとは思うのだが(関係ないがノーベル賞も廃止したほうがいいと思う)。

最低の男とはいっても、描かれる男の幼児性や自己中心性は程度の差はあれどの男にもある程度は当てはまるので、それだけに読んでいてとても不愉快になる。たいへんに笑える小説なのだが(ほんとうに面白い)読み終わって「ああ面白かった」ではなくて、なんともいえない不愉快さが残るのは私が女だからだろうが、男性が読んでも身につまされて辛くなる人は多いと思う。一方で、ほんとうに最低だなあこれよりはマシだなあと、下を見て笑えるくらいの名人芸ではあるし、これだけ最低さを露悪的に活写できるのは才能だよなあと思う。

あとがきに著者がこう書いている。「わずかにこれらの作中には、作者の頭の中だけで、観念だけで暴力を語ったり、登場人物を都合良く動かしたりしてる部分が微塵もないところに、当今のバカな読者やバカな評者、編輯者なぞがよろこびそうな小説よりも、いくらかマシな面がなかろうかとの思いもなくはないが、これは他の鑑賞眼の全てに、良しとしてうつるものでもあるまい。(もっとも私個人は、こと小説に関しては、ただ才にまかせただけの観念の産物よりも、その作者自身の血と涙とでもっと描いてくれたものでなければ、まるで読む気もしないし書く気も起こらぬが)」

私はもともと小説があまり好きではなくて、ほんとうに小説を読まないのだけど、その理由はまさにこれであって(だから村上春樹なんておぞけがふるうくらいに嫌いなのだけど)、あとがきのこの部分はそんな気分をうまく言い表してる。書かれていることがどれだけ事実であるかではなくて、書いている人とどれだけ深い部分で繋がっているかが問題なのだろう。そういうものが、とにかく少なすぎるし、昨今特にあまり必要とされていないようにも思える。これほどの笑える名人芸と抱き合わせでなければ無理なんだろう。

多分、業田良家とは比較されるだろうが、私は西村賢太のほうが好きだ。最終的に母性とか何だか大きなものに委ねていく話は気持ちが悪いし、それよりは最後まで投げやりだったり破滅的だったりするほうがいい。本人にとっては幸せなことではないだろうけど。

この人の本をアマゾンで検索すると、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」のところに小谷野敦『悲望』が出てきて、うーんそうかと納得した。ていうか、小谷野さん本人がこの本のレビューしてるし。

そういえば、業田良家が大学中退だと知った呉智英が残念そうに「なーんだ、きみ大学行ってたのー。いいから高卒だということにしなさい。そのほうが(作風からして)箔が付くから」と無茶苦茶なアドバイスをしたといういい話があるけど、西村賢太が中卒というのはそれを地でいっていて、呉智英は鋭いなあと妙に感心した。

明日、業田良家の講演(司会が呉智英)があるので楽しみ。

本・雑誌 | 19:41:45 | Trackback(0) | (-)
風林火山
少し前から見てる。最近のNHK大河ドラマはアイドルみたいなのやジャニタレばかり出して悲惨だったので決して見ないことにしていたが、今回のはなかなかいける。最初から見ればよかった。

その「最近の傾向」の表れに思えたGaktも、以外にもいい。あまりにもGaktのままなのだが、もともとが芝居じみている人だし、他の俳優もわりと歌舞伎っぽい演技なので、うまくはまっている。主人公よりいい役じゃないかと思える上杉謙信役だけど、けっこう魅力的だ。

他にも、最近の大河ドラマ(というより日本の映画・ドラマ全体)としてはほんとうに希なことだが、ヘタクソな俳優がどうも1人も出ていないようだ。だから見ていて苦にならない。時々入る加賀美幸子アナのナレーションも解説調で、進行もさくさく進む感じ。それでいて毎回「いい話」にまとめている。脚本もいいと思う。誉めすぎかなあ?

映画・ドラマ | 14:35:18 | Trackback(0) | (-)
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hananeko

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