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「三島由紀夫が死んだ日」読んだ。
何で今さらこんな本?と思って(2005年発行)図書館で見つけて借りた。アンソロジーのエッセイ集。監修者の中条省平の文章の中に、三島が晩年、マンガを高く評価していたとあった(呉智英の本でも読んだことがある)。マンガといっても、赤塚不二雄や水木しげるである。

「いつのころからか、私は自分の小学生の娘や息子と、少年週刊誌を奪い合って読むようになった。『もーれつア太郎』は毎号欠かしたことがなく、私は猫のニャロメと毛虫のケムンパスと奇怪な生物ベシのファンである。このナンセンスは徹底的で、かつて時代物劇画に私が求めていた破壊主義と共通する点がある。それはヒーローが一番ひどい目に会うという主題の扱いでも共通している」(中条省平のエッセイから三島の「劇画における若者論」を引用した部分)

しかし三島は白土三平は好きではなく「私は、この作家をあまり好まない」と言っているのに対して、平田弘史は最大級に高く評価してるらしい。よくわかる話だ。中条省平は「要するに、血みどろ好きということです」とズバッと書いている。

三島は上記エッセイの最後をこう締めくくっている(と中条さんが書いている)。「若者は、突拍子もない劇画や漫画に飽きたのちも、これらの与えたものを忘れず、自ら突拍子もない教養を開拓してほしいものである。すなわち決して大衆社会へ巻き込まれることのない、貸本屋的な少数疎外者の鋭い荒々しい教養を」

つらい文章だ。私は三島には生きていてほしかったと心底思う。せめて連合赤軍事件は見てほしかった。そしてもしオウム事件を見ていたら、三島は何と言ってただろう。本当に惜しい。

(関係ないが、三島の死後すぐに出たという「蘭陵王」という三島のエッセイ集が図書館にあるか調べてみたら、何と山藍紫姫子の同名小説が出てきた。やおい本も図書館に所蔵されてるとは聞いていたけど、うーん、いいのかな…。しかも貸出中だったし)

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猫とか動物 | 23:24:34 | Trackback(0) | (-)
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